- トップ
- 「社会保障・衛生」のクイズ
- 2020年のインフルエンザワクチンの供給量は約3,178万本でした。では過去30年間でワクチン供給量が一番少なかったのはいつでしょう?
2020年のインフルエンザワクチンの供給量は約3,178万本でした。では過去30年間でワクチン供給量が一番少なかったのはいつでしょう?
解説
正解は1994年でした。
予防接種法改正が施行されワクチン接種が義務接種から努力接種になったこの年、ワクチンの接種率は大幅に低下しました。学校等で集団接種が行われていたインフルエンザワクチンも、全部個人任せになると需要が急激に減り、供給量は前年の473 .8万本から30万本(△94%)にまで落ち込んだのです。
それ程に大きな影響をもたらした1994年の予防接種法の改正の背景には、多くのワクチン接種副作用被害の発生がありました。
1948年に予防接種法制定後、罹患者数※1と死亡者数が低下していくに連れ、次第に接種による効果よりも副作用被害の方が目立つようになりました。特に1970年代以降は予防接種の副作用被害をめぐっての集団訴訟が多く起こされ、1976年には予防接種健康被害救済制度が制定されるに至ります。
※1・・・罹患(りかん)=病気にかかること
しかし、その後も副作用被害事例が相次ぎ、1989年に導入されたMMR(麻疹、おたふく風邪、風疹)ワクチンが副反応として多くの無菌性髄膜炎を起こした事例は、原因が製造工程の問題らしいとされた事もあり、ワクチンに対する人々の不信感を大いに強める結果につながりました。
そうした状況の中、1992年12月東京高裁で予防接種被害東京集団訴訟が国の敗訴に終わった事を契機に、国が負っていた接種の責任を個人責任に転換する方向で法改正がなされたのです。
では、努力義務になった事で接種率が大幅に低下したのはなぜか、ですが、これには
- 経済的・功利的動機
- ワクチンに対する知識・理解の不足
- 国やワクチンに対する不信感
という要因が指摘されています。
この点は、今次の新型コロナワクチン接種でも同様でしたね。
答え
B: 1994年